Niconのブログ

動画の解説など。

AkasawarbhaⅡ反省会(前編)

はじめに

こんにちは。Youtubeニコニコ動画に鉄道系の音MADを投稿しているNiconです。今回は、先月投稿した「AkasawarbhaⅡ」の解説をしていこうと思います。

動画はこちら。

【ニコニコ版】

Youtube版】


www.youtube.com

投稿からおよそ1ヶ月。

ニコニコでは、マイリス50,いいね110,月間途中下車ランキング3位と、そこそこの伸びかなと思います(宣伝してくれた方々、本当にありがとうございます!!)。数値的にはそんな感じですが、今回は大物作者様からの言及も数多く頂いており、その点では過去最高の伸びになったのかもしれない。数字だけでは測れないものもあるような気がします。

Youtubeでも、実は過去作と比較して伸びが良いです。具体的には、コメント率・高評価率・視聴維持率が過去作に比べて高いです。つべって吹っ切れたとか、グルメレースみたいなネタ系の動画が伸びる印象があるのですが、こういうタイプの動画でもちゃんと評価されるんだな~と感動しました。

 

制作に至った経緯

私の動画を見てくださっている方ならご存知かもしれませんが、この動画は3年前に投稿した「Akasawarbha【Akasagarbha×常磐線】」のリメイク作品です。

この動画が投稿されたのは2018年1月。当時は、全線復旧へ向けた工事が少しずつ進んでいました。2017年10月に竜田~富岡間が復旧し、富岡~浪江間のみが不通という状態でした。

一方当時の私はと言うと、中学3年生。受験期真っ只中でした。中2のときに途中下車(鉄道MAD)の沼にハマってしまったがために学業が疎かになり、そのツケが回ってきて、ヒーヒー言ってたときです。戻りたくねぇ。でも、それだけハマった途中下車。中学時代に最後に一つだけやり遂げたいことがありました。

それが、Akasagarbhaで動画を作ることでした。

 音MADの定番曲というわけではないのですが、途中下車ではかなりの人気曲です。というのも、千代田線のAkasakarbhaを始め、Keiyogarbha(京葉線)、Akasagawara(南武線)などの名作揃いなのです。当時の私はそんな作品たちに憧れ、この曲で動画を作ることを一つの目標にしていました。ただ、MAD向きの曲ではない上、すでに多くの名作があがっているため、ハードルは高い。それでも、今まで身につけた技術を総動員して、制作に取り組むことにしたというわけです。

 

ーそして、時は過ぎ、2021年3月ー

すでに常磐線は、1年前(2020年3月)に全線復旧を果たしていました。

その一方で、私は無事大学受験を終え、暇を持て余していました。中学時代、持ちうる全ての力を出し切って作ったAkasawarbha。しかし、やはり3年もの月日が流れると、改めて見直してみて、「これはないだろ~」みたいな点も多々出てきます。"常磐線全線復旧から1年"という話題性がある上に、目の前には膨大な時間。やることは決まりました。

 

高校受験期真っ只中に作った作品を、大学受験を終えた自分が、常磐線全線復旧バージョンでリメイクです。

 こうして生まれたのが今作になります。では、時系列順に動画の解説をしていきます。反響が多かったパートを中心に、個人的に語りたいところなんかも書こうと思います。

1.仙台(0:00~0:20)

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旅の始まりは仙台上空から。空撮から始まると「おお!?」ってなるかなと思ったので、こうなりました。この動画は、AER展望テラスの31階から撮影しています。入場料無料で、三脚の使用も可。仙台駅から徒歩1分。こりゃ行くしかないでしょう。

使用機材はDJI OM4というジンバルと、iphone11proです。

 

 このジンバル、初心者に最適だと思います。まず、スマートフォン用という点がそう。それから、機能がとんでもなく豊富なんですよ。タイムラプスやパノラマ写真はもちろん、ハイパーラプスやダイナミックズームのようなプロが使う技法まで簡単に作れちゃいます。今回の動画では、こうした機能が大活躍したので紹介していきますね。

 

と、商品紹介はここまでに致しまして。この空撮では、「モーションラプス」という機能を使っています。簡単に言えば、動くタイムラプスです。この動画、横に動いてますよね。これは編集で動かしたのではなく、三脚に取り付けたジンバルが、自動で回転しています。楽でいいね(落ちないかヒヤヒヤしてたけど)

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上空から降りてきて、仙台駅の中へ入っていきます。駅の中に入るんだから当然といえば当然なのですが、この辺は前へ進む動画のみに統一しています。これは、動画の中へ視聴者を引き込もうという意図があります。

(この話とは関係ないですが、3枚目の右にちゃっかりE657系がいます)

2.仙台~岩沼(0:20~0:30)

このパートはそんなに解説するところはないです。一応、"白"石行きに掛けて、動画を白っぽくしているということを書いておきます。

 

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あと、この常磐線への乗り換えの部分ですね。実はこの動画、投稿前に友人にチェックを入れてもらっています。この動画の最後、クレジットに「Spacial Thanks きゃのん」と書いてあります。彼です。以降、きゃのん君と呼ばせていただきます。

 

で、何でこんな事をしたのかというと、ある大物下車作者さんが"作品出す前に、他人の目を通すのは大事"みたいなことをおっしゃっていたからです。今回、これを実践してみたところ、思っていたよりも大きな成果が出ました。それが特に出たのがこの場面です。

実はこの場面、きゃのん君に見せる前はこんな感じ↓でした。

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ここで彼に言われたのが「ポスターと電車、どっちを見せたいの?」です。

刺さりますねえ。

動画の重ね合わせってなんかそれっぽくなるので多用しがちですが、うまく重なっていないと、ごちゃごちゃしてしまい、何を伝えたいのか分からなくなる。主張の強いものを重ねちゃ駄目なんだなあと思った次第です。

3.岩沼~原ノ町(0:35~0:55)

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岩沼から常磐線に入ります。岩沼~原ノ町間は今回のメインではないですが、震災で被災した区間を含んでいます。特に山下、坂元(動画内での表記を間違えて坂本にしていました。すみません。)、新地の3駅は津波の被害を受け、駅が内陸側に移設されました。ということでこの3駅は、実際に降りて、素材をできるだけ多く集めておきました。

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この木なんの木?「日立木(ひたちのき)」

鹿島も日本語表記にネタを入れてるので見てみてね。

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原ノ町駅での乗換案内。放送が英語なので、雰囲気も欧米っぽい(?)感じにしてみました。フォントは、東京メトロのナンバリングにも使われている、Futura(フーツラ)です。「M」の形が特徴的。

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また、ご好評を頂いた"ウネウネする矢印"はAviutlのカスタムオブジェクト、「ライン(移動軌跡)」。バックの絵っぽい写真は、Photoshopによる加工です。

4.原ノ町~富岡(0:55~1:05)

今作のメイン区間であり、取材にも編集にも、かなり力を入れています。

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まずは本が開く演出からスタートします。使用ソフトはBlender。このソフト、どうやら私が大学受験真っ只中のときにバージョンアップしていたらしく、かなり使いやすくなっていました。なので、おじさん頑張っちゃいました。具体的には、UV展開というものを使ってみました。簡単に言うと、3Dの立体を、箱を解体するようにして平面にし、テクスチャをペタペタ貼る機能です。どうやらこれ、CGやるんだったら必須の機能らしいのですが、今までは敬遠していたんですよね。だって「UV展開」って明らかにヤバそうじゃん…呪術廻戦の領域展開的な…

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編集中の画面。UV展開とは何も関係ありません。

続いて、本が開いた後のお話です。

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この浪江~夜ノ森間のページ、動画内では全貌が明らかになることがなかったので、ここで公開しておきます。このパートは、動画をつくるというよりは、パンフレットを作るような感覚で制作をしていました(ソフトはAviutlだけど)。というのも、春休み期間にデザインの入門書を読んだので、その知識を活かしたかったというのがあったのです。

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「グリッドを使おう」「揃えよう」たしか本にはそんな事が書いてありました。ということで、グリッドを使って、揃えてみました。これだけで結構きれいになりますね。

ちなみに、そのデザイン本とは「デザイン入門教室」のことです。

 

5.富岡~いわき(1:05~1:15)

リメイク元の「Akasawarbha」は品川~富岡ですので、ここから区間が被ります。その中で、この富岡~いわき間では、3年前からの価値観の変化が見られて面白いです。

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Akasawarbha(リメイク元)より

3年前、このパートを作っていたときの私の心境はおそらくこうです。

「エフェクトガンガンにかけて、駅名標カッコよく動かせばそれっぽくなるやろ」

一方、今作。

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今作より

今作でこのパートを作っていたときの私の心境はというと、

「それぞれの駅(特に駅舎)の個性を最大まで引き出したい。そのためには、エフェクトを最小限に抑えるべき」です。

で、実際この区間の駅は全部降りたのですが、本当に個性豊かでした。駅舎で比較してみます。まず、上の久ノ浜駅は黄色い駅舎。バックの空の青色と補色になっていて、美しいです。

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一方、お隣の末続駅は、赤い屋根が特徴的。

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黄色、赤と来まして、次は白。草野駅の駅舎は、明治時代に建てられた歴史ある建物だそうです。

ちなみに四ツ倉だけ駅舎じゃないのは、降りたときちょうど工事中だったからです。

おわりに

今回は、「AkasawarbhaⅡ」の前半部分(仙台~いわき間)の解説をしてみました。実に2年ぶりのブログ更新でした。最後までお読み頂き、ありがとうございました。好評であれば、後半部分(いわき~品川間)の解説もしようと思います。それでは。